洋書の装幀(装丁)

デコラティブブックスとして使う古い洋書の装幀(装丁)の種類と基本的な知識について詳しくご紹介します。

書物の歴史は古く、本が巻物から冊子に変わったのは4世紀後半と言われています。
インテリア本として活用する古い洋書に関しても装丁によって材質感(テクスチャー)に違いがありますので、こちらではGossa Booksで取り扱いのある本を中心とした装幀(装丁)について詳しくご紹介します。

革の表紙

革装丁の洋書

海外の映画などで目にする西洋の古い洋書。
本のカバーを獣皮で作られていることからこのようなタイプの本(革装丁の古い本)を「革装本」「レザーバインディングブック」などと呼んだりします。
このような装丁の本は製本されてから100年以上過ぎている物も多く、古書店などよりもアンティークショップに「アンティーク洋書」として売られていることが多いです。

革装本の特徴は、革で作られた本の表紙と、背表紙にある独特の突起です。
このような装幀の本は、ページを背バンドという支持体に固定するよう綴じてあるので、こぶのような凹凸のある背表紙に仕上がります。

また、本によっては獣皮が反ったり、シワがよるのを防ぐため、金属の留め具で表紙がしっかりと閉じれるようになっている物もあります。
革装本が主流だった時代、本は横に置かれるのが普通だったため、表紙の革が床面に直接触れないよう表紙の四隅や中央に飾り鋲を取り付けた本もあります。

革装本の表紙(表面)の材料には羊・山羊・牛・子牛・豚の革が使われていました。
時代、地域によりこれらの革の使われ方に違いがあるようで、15世紀頃のドイツでは豚革、イギリスでは子牛革、イタリアでは山羊革が多用されていたようです。

羊皮紙装(Pergamino)

羊皮紙の洋書

こちらはGossa Booksが輸入した本物の羊皮紙装の本。スペインの古書店に眠っていた洋書で現地ではこの装丁の本を「ペルガミーノ」と呼びます。
表紙の質感は動物の皮(犬のおやつに使われる乾燥した豚の皮)に近くしっかりとした作りになっています。

このような革装本(アンティーク洋書)はヨーロッパ・アンティークスタイルフレンチカントリースタイルなど「古めかしさ」を取り入れたインテリアスタイルにフィットします。

人皮装丁本

一般的な革装本は獣皮を使った物ですが、珍しい物には人間の皮膚を材料にして装幀が施された本もあります。
人の皮膚を使って製本した本を「人皮装丁本(にんぴそうていほん)」と呼びます。
解剖された死体の皮膚で作られた解剖学テキスト・遺言に基づき故人の皮膚から作られた本・有罪判決を受けた殺人者の皮膚で作られた裁判記録など、人皮装丁は手に入らないような書物に使われることが多いようです。
樹皮や爬虫類の皮、タケノコの皮やミノムシの巣など、あまり手に入らない一風変わった装幀の本を「下手装本」と呼び、人皮装丁本はその最たるものになります。

革装本のメンテナンス

革装丁の本は管理が大変な本でもあります。
経年変化により獣皮の油分が抜けてしまうことと、100年以上も空気に触れていることもあり、革が赤茶けた粉状に劣化したレッドロット(Red Rot)と呼ばれる劣化状態になります。
レッドロットの状態になった本は、触れるだけで手が赤茶に染まってしまいます。

アンティーク洋書のメンテナンスに使う保革油

レッドロットの状態にならなくてもに背表紙に亀裂が生じることも多々ありますので、普段のメンテナンスとして上記写真のような専用の保革油(良質な動物性油脂)を塗布して管理する必要があります。

布の表紙

クロス張りの洋書

空間を飾るインテリア小物としてよく使われるのが布装丁(クロス張り)の本で、上製本やハードカバー本とも呼びます。
単行本などによく使われている装丁です。
外観全体を布(クロス)で覆っているタイプを「フルバウンド(Full Bound)」、背表紙だけを覆っているタイプを「クウォーターバウンド(Quarter Bound)」、背表紙と隅を覆っているタイプを「ハーフバウンド(Half Bound)」と呼びます。

クロス張りのヴィンテージ洋書は様々なインテリアスタイルにフィットしますので、店舗ディスプレイやモデルルーム、モデルハウスなどの住宅展示会場を飾るインテリアアイテムとして使うのにとても便利です。

紙の表紙

ペーパーバックの洋書

布表紙の本をハードカバーと呼ぶのに対し、紙表紙の本はソフトカバーと呼びます。
並製本やペーパーバックとも呼び、文庫本などに使われている装丁です。

古いペーパーバック本の中には「フランス装」という装丁の本があります。
フランス装の本は、小口が裁断されておらず、ペーパーナイフなどでページを裁断しながら読み進める仮製本タイプの本(アンカット本)を指します。

ペーパーバックタイプの本にはフランス装と似た名称の本があります。
それは表紙の四方の見返しを織り込んだ「仮フランス装」と呼ばれる装丁の本です。

仮フランス装の本とペーパーバックの比較

上の比較写真を見ればわかるように「フランス装」の本とはまったく別物で、「仮フランス装」の本は、表紙を折り返しているため、普通のペーパーバックよりも表紙に厚みがでているのが特徴です。

仮フランス装の本
天アンカット

また、仮フランス装の本は小口の上方(ページ上部)である「天」の部分のみ化粧断ち(裁断)されていない「天アンカット」と呼ばれる製本手法で作られています。

デコラティブブックスとして使うペーパーバックタイプの洋書はクロス張りの洋書同様にスタイルを選ばずディスプレイできる便利なデコレーションアイテムで、特に相性の良いインテリアスタイルはカフェスタイルモダンスタイルナチュラルスタイル北欧スタイルです。

このブログはデコラティブブックス専門店「Gossa Books」が運営しています。

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